近年、多種多様化する感染症対策のスペシャリストとして「感染制御専門薬剤師」の需要が上昇しています。
特に、専門薬剤師は取得者数も少なく、通常の薬剤師に比べて、給与・待遇面でも非常に優遇されれることが多く、ぜひ取得したい資格の一つです。
感染制御専門薬剤師になるためには、感染制御の基礎知識はもちろん、発表3回、論文2編以上や、病院長・施設庁からの推薦など、容易に取得できるものではありませんが、さらなるキャリアアップや転職先の選択肢を広げたい方にはお勧めです。
「感染制御専門薬剤師」の資格とはどんなものなのか、仕事内容も含めてご紹介していきます。
目次
「感染制御専門薬剤師」ってどんな資格?
「感染制御専門薬剤師」は、感染制御に関する高度な知識や技術を持ち、安全で適切な薬物療法を提供できる薬剤師として、一般社団法人日本病院薬剤師会が2008年(平成20年)から実施している認定資格です。
病院内の感染症対策チームの一員として活躍する場が多く、専門性の高い資格となります。
最初のステップとして、「感染制御認定薬剤師」という認定薬剤師資格があります。
「感染制御認定薬剤師」は「感染制御専門薬剤師」取得条件のうちの一つを満たすことにもつながりますので、先に取得し、のちにステップアップしていっても良いかもしれませんね。
取得条件は?更新は必要なの?
感染制御認定薬剤師に認定されるには、日本病院薬剤師会が定める、以下4つの条件を全て満たさなければなりません。
- 申請時において、感染制御認定薬剤師あるいはICD制度協議会が認定するインフェクションコントロールドクター(以下「ICD」という。)の資格を有している者であり、かつ、ICD制度協議会に加盟している学会・研究会のいずれかの会員であること。
- 日本医療薬学会、日本薬学会、日本臨床薬理学会、日本TDM学会、ICD制度協議会に加盟している学会・研究会、日本薬剤師会学術大会、関連する国際学会あるいは日本病院薬剤師会ブロック学術大会において感染制御領域に関する学会発表が3回以上(うち、少なくとも1回は発表者)、複数査読制のある国際的あるいは全国的な学会誌・学術雑誌に感染制御領域に関する学術論文が2編以上(うち、少なくとも1編は筆頭著者)の全てを満たしていること。
- 病院長あるいは施設長等の推薦があること。
- 日本病院薬剤師会が行う感染制御専門薬剤師認定試験に合格していること。
引用:感染制御専門薬剤師認定申請資格
https://www.jshp.or.jp/senmon/senmon2-3.pdf
学術発表が3回以上、学術論文2編以上など容易ではない条件が並びます。
だからこそ、需要が増加する中、取得者数がまだまだ少ないため、好条件での求人が多いようです。
取得したらおしまいではなく、感染制御専門薬剤師は資格取得後、5年ごとの更新が必要となり、取得後も講習や実績の積み重ねが必要です。
更新条件は6つ。
- 認定期間中継続して、日本病院薬剤師会の会員であること。ただし、日本病院薬剤師会が定める団体のいずれかの会員であればこれを満たす。
- 認定期間中継続して、日病薬病院薬学認定薬剤師であること。ただし、日本医療薬学会認定薬剤師であればこれを満たす。
- 更新申請時において、日本薬学会、日本医療薬学会、日本臨床薬理学会のいずれかの会員であり、かつ、日本TDM学会、ICD制度協議会に加盟している学会・研究会のいずれかの会員であること。
- 認定期間中、施設内において感染制御に関する専門的業務に従事していたこと、および施設内・地域・学会等において指導的役割を果たしてきたことを証明できること。
- 更新申請までの5年間に、日本病院薬剤師会が定める感染制御に関する講習単位50単位以上(特段の理由がない限り、毎年最低3単位以上)を取得すること。ただし、50単位のうち日本病院薬剤師会の感染制御に関する講習会あるいは厚生労働省委託の感染制御に関する講習会で12単位以上を取得すること。
- 更新申請までの5年間に、関連する国際学会、全国レベルの学会あるいは日本病院薬剤師会ブロック学術大会において感染制御に関する学会発表が1回以上(共同発表者でも可)、または複数査読制のある国際的あるいは全国的な学会誌・学術雑誌に感染制御に関する学術論文が1編以上(共同著者でも可)あること。
引用:感染制御専門薬剤師認定の更新条件
https://www.jshp.or.jp/senmon/contents/kansen-04.pdf
更新の際にも講習の受講や論文の提出などの条件があり、常に勉強が必要となります。
自分自身の大きなスキルアップにつながりますので、大変おすすめです。
「感染制御専門薬剤師」の仕事内容とは?
特に資格が生かせるのが、病院内での感染症対策チームの一員としての仕事となりますが、具体的にどういった仕事内容になるのか見ていきましょう。
感染症に対する薬物療法
肝不全や腎不全など感染症や合併症が高いリスクとなる疾病に対し、適切に抗生物質などの投与を行い、患者をしっかりとモニタリングしながら副作用の管理などを行います。
主に専門医を中心としたチーム医療の一員として携わることになり、感染制御専門薬剤師として、病院内で任される仕事の一つとなります。
感染予防への情報提供・注意喚起
感染制御専門薬剤師は治療だけでなく、感染予防に対しても大きな役割を果たします。
院内の注射針やカテーテルなどの衛生管理や、消毒薬や抗生物質の取扱書の作成など、通常の薬剤師とはまた違った予防医療の分野で活躍します。
また、院内だけでなく、地域住民などに感染予防を呼びかける勉強会や資料配布を行ったりする場合もあります。
薬剤師の枠を超えた活動をできることが、感染制御専門薬剤師の魅力です。
「感染制御専門薬剤師」は病院勤務がおすすめ!
感染制御専門薬剤師は、感染症治療の最前線に立つ仕事ですので、オファーも多く、数多くの症例に携わることができる病院での勤務がおすすめです。
腎不全や白血病など感染症、合併症が高いリスクとなる患者さんを救うためになくてはならない感染制御専門薬剤師のお仕事。
薬剤師としてのキャリアアップを目指すなら、「感染制御専門薬剤師」の資格を取得してみてはいかがでしょうか?
取得したいのはやまやまだけど、費用もかかるし、時間もなかなか…。
という方も安心!
今は資格を持った薬剤師を求める病院も数多くあり、取得を目指す人を優遇してくれたり、補助してくれたりする所もありますので、さっそく転職サイトで調べてみましょう!